大阪のサラリーマンから農業の道へ。大沢町の若手農家、白澤さん

大阪のサラリーマンから農業の道へ。大沢町の若手農家、白澤さん

ここ大沢町には、ベテラン農家さんから若手農家さんまで、様々な農家さんがおられます。
今回ご紹介する白澤さんも、FARM CIRCUSにも出品してくださっている大沢町の農家さんのお一人。
脱サラされて、5年ほど前から農業を始められた若手の農家さんです。

白澤さんは以前、大阪でサラリーマンをしておられました。
その頃に体調を崩されたこともありご退職されたのだそうですが、
その時に出会ったのが無農薬野菜でした。

無農薬野菜に出会ったことで体調の改善にもつながり、農業を志すきっかけにもなったそうです。
ご退職されて農業を始められるようになるまでに時間がかかりましたが、
人とのご縁もあり5年ほど前から大沢町で念願の農業をスタートされました。

白澤さんは、無農薬栽培の畑と慣行栽培の畑、ふたつの畑でお野菜を育てておられます。
(慣行栽培…化学肥料も使用する一般的な栽培方法)

無農薬栽培だけで野菜を育てるつもりで始めた農業ですが、実際には安定供給とのバランスを考えると、
無農薬栽培だけでは難しいという現実を実感したと言います。

「最初ここに来た時は、無農薬で全部やろうって思っていたんです。でもなかなか難しいことが身に染みて。
やっぱり無農薬だけだと「全滅」みたいなこともあり得るので・・悩んだ部分もあります。
だから今は勉強して色んな人のお世話になりながら、ちょっとずつできていけたらいいなって思います。」
 

そんな白澤さんはオクラやナス、大根、にんじん、レタスやトマトなど様々なお野菜を育てておられます。
中でもこの夏FARM CIRCUSで人気だったのが“ふわトロ長なす”。
その名の通り、とにかくトロっとした食感が特徴。
白澤さんお気に入りの食べ方は「シンプルに焼いて食べる」だそうです。

ご自身で種を買ってきて化学肥料を与えずに育苗(※)されて、
手間暇かけて育てられた安心安全のふわトロ長なす。
(※育苗/いくびょう…種を畑にまかず、ポットで発芽させる事。苗になってから畑に移植する。)
今年はシーズンが終わってしまいましたが、来年ぜひ楽しみにしていてください。


 
そんな白澤さんが今特に力を入れておられるのは、昨年の暮れに植えたブドウの栽培。
ピオーネとシャインマスカットの2種類に挑戦しておられるそうです。

ブドウに限らず、農作物の栽培において問題になるのは自然環境の影響です。
日照りが続いたり反対に長雨だったり、台風が来たり気温が安定しなかったり。
ブドウはこうした環境変化を受けやすく、栽培が難しい果物で、
実がなって収穫できるようになるまでには時間もかかるのでかなりの根気が必要だそうです。

また、土の状態を見分けるのも大切なのだとか。
例えば真夏の長雨の後に晴れた日は、一見すると土がカラカラに乾いているように見えます。
でも少し掘ってみると水分が残っていたりするそうです。
そうした状態を確認しながら水やりをコントロールしていきます。

栽培はとても大変ですが、ブドウを店頭に並べるという目下の目標を達成する為に、
師匠に教えてもらいながら白澤さんは日々管理に努めておられます。
店頭で白澤さんのブドウに会える日が楽しみですね。
 

“自然と向き合う”という事

農業は自然との共存が何よりの課題です。
天候や害獣などの自然問題との対峙はもちろんですが、作物そのものが自然の“生き物”なので、
なかなか思うようにはいかないと白澤さん。

例えば、動物に畑を荒らされる害獣問題。
かつてスイートコーンを育てた時には“さぁ収穫するぞ!”という時に
アライグマの被害に遭いました
その対策として電柵をはりますが、今度は豪雨によって電柵が水没状態になって機能しなくなり、
そのスキをついてアライグマがまた侵入して来てしまったのだとか。

一度場所を覚えると毎年のようにやってくるようになってしまうので、対策を講じなければなりません。
他にも、せっかく育てたレタスの苗がカラスの被害にあったこともあります。

そしてもちろん、天候の問題もあります。
例えば今年の夏、最初の方はオクラが全然採れなかったり、
仕立てたナスも一度全て倒れてしまったりと、不安なスタートだったといいます。

でも天候が落ち着いてからはオクラもナスもものすごく元気になり、
特にオクラは一日採るのが遅れたら大変なことになるそうです。

オクラは成長が早いため、採り時を逃せば固くなってしまって商品にならず、
収穫のタイミングが割とシビアなのだとか。
「毎年のように思いがけない事が起こります」と仰っていました。
 

人から言ってもらうのが一番うれしい “おいしい”という言葉

様々な苦難を乗り越えながらも、今はブドウを、そのブドウができたらその次の展開をと、
意欲的に今後の展開を考えておられました。

そんな白澤さんにとって一番うれしいのは、やっぱり消費者からの“おいしい”の言葉だといいます。
自分で手間暇かけて育てた野菜が収穫できて、収穫した野菜を買ってくれる人がいて、
「おいしい!」と言ってもらえる。
その事が何よりうれしいのだと話してくれました。

この先のご活躍が楽しみですが、まずは白澤さんのブドウが食べられる日を心待ちにしていたいですね。

【記・撮影 谷口】

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