ミネラル豊富な土壌が育む絶品のお餅。塩田もち工房。

ミネラル豊富な土壌が育む絶品のお餅。塩田もち工房。

FARM CIRCUSの直売所に並ぶ、手づくりのお餅たち。

まるで自分の祖父母につくってもらったような温かさを感じる商品です。

神戸市北区道場町で、地元のお米を使って様々な取り組みを進めている塩田もち工房さんを訪ねました。

「道場町塩田地区は、有馬温泉を流れる有馬川の水を引き入れて作物を作っています。そのため、塩分が少し含まれていて、井戸水を吸い上げる水道管はすぐ錆びたりするんですよ。そうしたミネラルを豊富に含む水を使って栽培される米や野菜は、昔から美味しいと評判です。」

今回お話を聞かせてもらったのは、道場町塩田地区にずっと住まわれている谷千代子さん。塩田地区では、古くからもち米の栽培とお餅づくりが盛んで、かつてはその独特の粘りと味の良さから大名に献上していたという歴史もあったとか。そうした経緯から、いつしか「塩田もち」と呼ばれ特産品となり、平成17年には兵庫県認証食品として「塩田月見もち」と命名されました。

「認証をいただき、昔からの確かな評判もありました。ただ、お餅をつくる人も、さらには原料のもち米を生産する農家さんも減ってきて、細々とやっているといつか無くなってしまうという危機感がありました。私たちが黙っていたら塩田月見もちは消えてなくなってしまう。なんとかしようって。」

そうして立ち上がった地元のみなさんは、地域の協力を得て、JA兵庫六甲道場支店の一角に「塩田もち工房」をオープンさせました。20244月のオープン後、現在は78人のメンバーが交互に入れ替わって商品づくりに勤しんでいます。

「今は、白餅におはぎ、それからもち粉と米粉を合わせた皮にあんこを包んだ“もちどら”という商品をつくっています。また新しい商品として、米粉を使ったプリンやロールケーキも開発しました。今後はおにぎりや炊き込みご飯ももっと提供していきたいですね。もち粉も米粉も、塩田地区でつくられたお米を使っています。」

塩田もち工房のみなさんは、早朝から数時間かけてこれらの商品をつくり、配達に回ります。終わった後は家に戻って掃除や洗濯。パワフルな日常です。

4月に商品づくりを始めて、まだ数か月。今の悩みは売り先と販売促進です。もっと取り扱ってくれるお店を増やしたいそうです。また、現代ならではの難しさも感じています。

「中々日常的にお餅を食べる暮らしになっていないので、もっともっとお餅やもち米の美味しさや食べ方を伝えていきたいです。以前、あるイベントで私たちのお餅を使ってぜんざいを販売していたところ、それを食べた子どもたちがすごく喜んでくれて、このお餅を買えないのかって言われたんです。慌てて袋を取りに戻ってお餅を販売しました(笑)。美味しいと言ってくれる瞬間がやっぱりうれしいですし、食べてもらうきっかけを増やしていきたいですね。まだまだ経営的にも難しく、もっとつくりたいです。」

経営なんてこの歳で初めてしたんですよ、本当に分からないことばかりで大変ですと笑う谷さん。

世代を越えてつないでいくために。食べてもらうことも、つくることも。

塩田もち工房の挑戦は始まったばかりです。

とっても美味しいお餅。ぜひ一度ご賞味ください。

【記:鶴巻耕介 撮影:FARM CIRCUS

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