『新鮮でおいしい野菜を食べてもらいたい』長尾町でお米や野菜を育てる辻さん

『新鮮でおいしい野菜を食べてもらいたい』長尾町でお米や野菜を育てる辻さん

FARM CIRCUSがある大沢町の隣町、長尾町。
この場所で、米作りをメインに野菜も育てておられる農家の辻さんをご紹介します。

辻さんは、今が旬のちぢみほうれん草や、北神ネギ、ブロッコリーなど、地域の特産物などを初め
様々な野菜を育てておられます。

夏にはスイートコーン、秋には北神栗かぼちゃなど、FARM CIRCUSでもイチオシのお野菜を
たくさん育ててくださっていますが実はメインはお米作りなのだそう。

そんな辻さんは、農業生産法人(※) 株式会社こうべファームの取締役も務めておられます。
こうべファームは主にお米の生産を行う企業。
近隣の田んぼの面倒を見たりする活動をしておられるそうで、知人の方々と共に2013年に設立されました。
その傍らで空いた時間にお野菜を育てているのだそうです。
※農業生産法人…法人形態で農業を営む団体の総称

定年前に退職し、親しみのあった農業の道へ

辻さんは、数年前までは一般企業でサラリーマンをしておられました。
しかしある思惑があって、定年になられる少し前の55歳の時に退職なさったそうです。

実は辻さん、就職した時から『会社勤めは55歳まで』と決めていたのだとか。
一般的に60歳、近年は65歳で定年となりますが、
それからやりたいことを始めようと思うと先が短いと考えていました。
その為、ほぼ予定通りのご年齢で退職されたのだそうです。
計画性の高さ、お若い時から考えていた事を実行されたという行動力に驚かされます。

辻さんはご実家が農家だったそうで、幼いころから田植えや稲刈りのお手伝いをされたり、
農業に親しみのある環境で育ちました。
こうべファームの起業はもちろんですが、その事もあって退職後は農家に転身されたそうです。

やりたい事をやれる、それが農業

サラリーマンから転身なさった辻さんにとって、
農業という業界は『やりたい事をやれる、サラリーマンとは全く異なる世界』なのだそうです。

企業に勤めているとどうしても自由が限られてきます。
しかし農業は自分の試したい事を自由に試すことができる。
その分スムーズにいかなかった時の痛手もあるそうですが、
それでもそうしてやりたい事に挑戦していける“農家”というご職業を楽しんでおられます。

「サラリーマンは自分のしたいことがなかなかできないですよね。
農業やったら野菜作りも米作りも“こうしたい”と思ったら、ある程度自分がしたいようにできますよね。
来年はこうしてみようとか、色んな事を自分のやりたいように。
そら楽しいです。楽しくなかったらできません。笑」

度々農家さんを取材させていただいてつくづく思うのは、農業は本当に大変なお仕事だという事。
でもそうして楽しんで作られたお野菜をいただけることは、私達消費者にとってもとても幸せなことですね。

農業は挑戦の繰り返し

この冬に辻さんが特に力を入れて育てておられたのは、北神ネギとブロッコリー。
畑を見せていただくと、立派な北神ネギが育っていました。
ブロッコリーも、今か今かと収穫の時を待っているようでした。

他にも、蓮根やオムスビッシュ(※大根の一種)、もものすけ(※蕪の一種)など
FARM CIRCUSイチオシの食材や、キャベツや早稲の枝豆、キウイフルーツなど、
年間を通して色んな種類のお野菜を育てておられます。

辻さんが栽培する品種を決める基準は“消費者のニーズ”。
食べる人のニーズに合わせて、色んなものにチャレンジしたいのだとお話してくれました。

農業をはじめられて6年程の辻さんですが
「まだ研究中です。自然が相手やから工場で作るようにはできへん。
いっぱい失敗してるし、まだまだこれからなんです。」と、謙虚に仰っていました。
これまでも色んな事に挑戦され、さらにこれからも挑戦だという姿勢に、身が締まる想いでした。

「新鮮でおいしい野菜を食べてほしい」辻さんの農業のこれから

辻さんは主に、FARM CIRCUSなど地元の直売所に野菜を出しておられます。
また、採れた野菜を知人の方にあげたりと地産地消を実践されています。
知人に野菜をあげた時にはとても喜ばれ、“おいしい”という声を直接聞く事ができます。
そうした声が作る喜びになっているとお話してくれました

そんな辻さんは、農業で町を活性化することにも取り組んでおられます。
長尾町だけでなく、地方にある課題として高齢化の問題があります。
町全体の年齢層を引き下げる事は難しくても、
活性化のきっかけになる事ができたらと考えておられるのだそうです。

その手段の一つとして今試しているのは、集落営農。
枝豆などみんなで育てる事ができる野菜を栽培し、
コミュニケーションの場として活用するような取組を試みています。
もし栽培が成功して広がれば収益化にも繋がり、町が少しでも潤沢になります。

取材中「新鮮でおいしい野菜を食べてもらいたい」と、度々仰っていた辻さん。
野菜を育てる事だけでなく、私達消費者の事や町の事まで考えてくださっている温かいお人柄。

辻さんの野菜が美味しいのは、ただ丁寧に育てておられる、というだけではなく
“おいしいものを食べてほしい”という優しさが詰まっているからなのですね。

FARM CIRCUSで辻さんの野菜を見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。

【記・撮影 谷口】

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