“手作り”にこだわり続け、地域に愛される灘区のケーキショップ ハンドメイド

“手作り”にこだわり続け、地域に愛される灘区のケーキショップ ハンドメイド

神戸市灘区に本店をかまえるケーキショップ、ハンドメイド。
ハンドメイドさんのお菓子は、お店の名前の通り全て手作り。
FARM CIRCUSでも大人気の“神戸とろりんプリン”を作っておられるお店です。

お店の方ではお菓子の販売だけでなく、軽食なども楽しめるカフェになっていました。
扉を開けると、チリンとベルの音が響き、
木材のテーブルなどが置かれた店内はどこか懐かしく、温かい雰囲気。
常連さんも多く、モーニングの時間には満席になるそう。

創業当時から変わらない、“手作り”へのこだわり

今回取材を受けてくださったのは。代表の正井啓介さん。
ハンドメイドを創業されたのは、昭和51年に正井さんのお父様でした。
創業当時は神戸市中央区で、自家焙煎珈琲を営んでおられたそうで、
手作りのケーキを始めたのは翌年の昭和52年のこと。
昭和56年には法人化され、同時に今の場所に移転し、
近くに工房を設けて本格的にお菓子の製造をはじめられました。

ハンドメイドさんのお店の界隈は、ファミリー世帯が多い地域でした。
家族4人で来店し、それぞれにお菓子を選ぶ。
そんなシチュエーションが多かったこともあって
「お子さまもお父さんお母さんも、どなたでも喜んでもらえるものを作りたい」と、
手作りでケーキを作り始められたそうです。
正井さんがお店を継がれてからもそのこだわりは変わらず、
どんなに販売数が増えて忙しくなったとしても“手作り”を守り続けておられます。

守る事、変える事

正井さんがお店を継がれたのは18年前、31歳の時でした。
先代とは考え方が違っていたことで、指摘を受けたこともあったと言います。

先代は攻めの姿勢が強く、売上の向上を大切になさっていました。
最終的には神戸市内に8店舗も展開し、従業員が100名程になった事もありました。

一方で「これからは“やれば売れる”という時代じゃない」と感じおられた正井さんは、
「そんなんせんでええ」と先代に言われながらも、ネットショップや百貨店での販売を始めました。
このご判断が、後にハンドメイドさんの飛躍を後押しする事になります。
大手通販サイトに初出店した時には、反響が凄まじく、
ショップの成功例として資料に取り上げられたこともあったのだとか。

手作りというこだわりは守りつつ、時代に合わせて新たなことにも挑戦する。
この柔軟性が、お店を守り続ける秘訣なのかもしれません。

懐かしいのに新鮮。ハンドメイドの定番お菓子

ハンドメイドさんの代表的な商品は、“神戸とろりん”というプリン。
名前の通りとろっとしていて、とろけるような食感なのが特徴です。

こうしたメインにしているような商品には、コンセプトがあると正井さんは教えてくれました。
それは“誰もが知っている商品だけども、食感がおもしろい”という事。

確かに昔ながらの懐かしのプリンは、固めでしっかりした食感。
対して神戸とろりんは、食べたら忘れられない程とろける食感。

他にも代表的な商品として、シューフォルマッジーノ、というお菓子があります。
もちろんこちらも食感に遊びが。
見た目は普通のシュークリーム。
でも生地はもちもちしていて、伸びるような食感になっています。

定番のお菓子も食感が異なると新鮮に感じられて、私たちを驚かせてくれます。
おいしいだけでなく食感も楽しい、ハンドメイドさんの代表的なお菓子は、
地元だけでなく全国や海外でも愛されています。

日本でも海外でも愛される、ハンドメイドのお菓子

ハンドメイドさんのお菓子は、県外にもファンがおられます。
雑誌で紹介されたり、フリーペーパーの表紙を飾ったりと、メディアで取り上げられる事もしばしば。
多くのメディアで紹介された事もあって、関東の方のイベントからオファーがかかる事も多かったと言います。

また、以前新神戸駅の催事店舗に長期出店をしていた時の事。
その好評ぶりから通常3か月で店舗変更になる場所で、異例の1年半もの間出店されていたそうです。
その時に県外から来てくださっていたお客様が、催事場が無くなってしまったからと、
その後は直接お店に足を運んでくれるようになったのだそうです。

ハンドメイドさんのすごいところは、海外でも評価を得ているということ。
例えば韓国。
韓国の百貨店の会長の甥が来日した際、ハンドメイドさんのお菓子を食べてその美味しさに驚き、
直接連絡がきたのだそうです。
それをきっかけに、最終的には韓国の大手百貨店3社で販売する事になったのだとか。

さらに、毎年パリで開催されている“サロン・デュ・ショコラ”に、
ハンドメイドさんの“チョコシューフォルマッジーノ”が出品された事もあるそう。
“サロン・デュ・ショコラ”とは、世界各国から名だたるパティシエが集まる世界最大級のチョコレートの祭典。
実力派のパティシエが腕を振るったチョコレートに並んで出品される。
その事からも正井さんの実力の高さが伺えます。

実力派だけど、みんなに愛される“スーパーマン”

世界に通用する商品を作っておられる正井さんですが高慢さなどは一切なく、
とてもお優しい雰囲気を感じられる方でした。
代表者という忙しい身でありながら、製造はもちろん、商品開発や外交、お店の営業や時には配送まで、
あらゆることをこなしておられます。
「お客様には、スーパーマンと呼ばれます。」と、笑ってお話してくれました。

決して驕ることなく、一生懸命に日々を過ごされる姿が、
きっと地域の人々に長く愛されている理由のひとつだと感じました。

これからも家族に喜んでいただく為に。

ハンドメイドさんでは最近、オーガニック系のお菓子にも力を入れておられるそう。
オーガニックのお菓子を作るには、様々な課題をクリアしなければなりません。
オーガニックの食材は、種類もそこまで豊富でない上に高価です。
さらに、安全ではあるものの賞味期限が短いなどの問題もあって、
仕入れと製造、販売と賞味期限設定のバランスがとても難しいのだそうです。
それらすべてをクリアして、“おいしいオーガニックのお菓子”を作る事が正井さんの目下の目標。

オーガニックの需要が増加し、商品も充実してきている昨今。
当たり前のように商品を眺めていますが、そこには作り手の努力が隠されていた事を改めて感じました。

最後に正井さんは、神戸とろりんファンに嬉しい情報を教えてくれました。
長年あったギフトの需要にこたえて、今年の秋頃ハンドメイドさんの直営ネットショップ限定で、
“神戸とろりんプレミアム”の販売をされるそうです。

詳細はいずれハンドメイドさんのHPにて公開されるそうなので、ぜひチェックしてください。

神戸のケーキショップ ハンドメイドホームページ

【記・撮影 谷口】

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