自分達で作る食物を食べるのは一番の贅沢な暮らし

自分達で作る食物を食べるのは一番の贅沢な暮らし

ここ大沢で長きに渡り農業をされてきた、稲生芳子さんにお話を聞かせていただきました。
たくさんの山々に囲まれた広々とした畑の中にある大きなご自宅に伺いました。

農業を通じた食育への関わり

ここ大沢の町で、1年を通じて数々の農作物を作られている稲生さん。
地元「兵庫六甲JA神戸北女性会」にてお味噌を使った子供たちへの食育もされています。

神戸市内の小学校の3年生に毎年行なっている体験学習は、
生徒が自分たちでお味噌をつくり半年間熟成させてから食べるという授業です。

コロナ禍以前は地元食材を使ったお弁当などもあわせて作っていたそうで、
子供たちは「とても美味しい!」と貴重な体験を通じて
地元で獲れる食材を美味しく食べることを楽しく学んでいます。

他にも「大沢町婦人会」としての活動ではファームサーカスのイベントにも参加いただき
北神みそをつかった美味しいお味噌汁を振る舞っていただいています。

ファームサーカスマーケットでは、兵庫六甲JA神戸北女性会でつくられた「北神みそ」が販売されています。
また、食堂ではこのお味噌をつかったお味噌汁を提供しており、お客様から好評を得ています。

自然豊かな土地にある畑

自宅より少し歩いた場所にある稲生さんの畑に向かいました。
途中川を超える橋の麓に大きな桜の木があり、毎年この辺りは桜がとても綺麗に咲くようです。

畑には「ちぢみほうれん草」が少し残っており、その場で稲生さんが刈り取られ見せてくれました。

「寒い土地を活かして何かできる農作物はないか」と地域おこしではじめたのが「ちぢみほうれん草」とのことで、
稲生さんの出荷したちぢみほうれん草はファームサーカスでも人気の野菜となっています。

こちらの畑では1年を通じてちぢみほうれん草の他に
じゃがいも・さつまいもなどを作られているそうですが、
毎年イノシシに食べられる被害などもあり、気候の他にも野生の生き物との共存も
農業をする上で避けられない課題だと話されていました。

道端にふきのとうやよもぎも生えていました。
これから山菜が多く育ってくるそうです。

雨で成長した「しいたけ」の収穫

裏山にある「しいたけ」圃場も見学させていただけることになり、歩いて栽培している山の中に向かいました。

途中、地元の小学校がありこちらの生徒さんたちにも農作物を通じた体験をしていただいているそうです。

こちらの畑も稲生さんの畑とのことで、大沢町で4つの畑を管理されているそうです。

竹林の中の開けた道を進み少し脇道に入ったところに、しいたけの圃場がありました。

先日の雨でかなり成長したそうで、すでに収穫しないといけない状態とのことで、
急遽しいたけの収穫体験をさせていただきました。

あっという間にカゴは一杯になりましたが、まだまだ収穫するしいたけは残っているみたいです。

自宅に戻ると早速獲れた「ちぢみほうれん草」と「しいたけ」を仕分けされ、たくさんお土産をいただきました。
貴重な体験もさせていただきありがとうございました。

自分達で作る野菜を食べるのは一番の贅沢

実はお孫さんが「野菜嫌い」という稲生さん。
新鮮な野菜を食べすぎて舌が肥えたのでは?と笑い話もされていました。
普段はスーパーマーケットで買った野菜を食べている子供達が、
ファームサーカスの新鮮な野菜を食べると「美味しい!」と感動したそうです。

素直に味を感じることができる幼少期に採れたての新鮮な食材を食べられることは、
とても貴重な体験でありこれからも食育を通じて継続して伝えていきたいと話されていました。

ご実家はタバコ農家だったとのことで「農業を手伝ってきたので農家には嫁がない!」と決めていたそうですが、
今は学生達の農業体験などにも積極的に協力し、作ったものを喜んでもらえるのが嬉しいと話す稲生さん。

「自分達で作ったお米や野菜を食べられるのは一番の贅沢な暮らしかもしれない。」と、
自然と向き合う大変な日々も、今は幸せに感じておられる素敵な印象を受けた取材になりました。

【記・撮影 谷口】

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