二郎いちごとの出会いは「神のお導き」。年中無休のいちご農家、小林農園の小林さん

二郎いちごとの出会いは「神のお導き」。年中無休のいちご農家、小林農園の小林さん

ハチが飛び交う広大な天井の高いハウスでは、給水や肥料が点滴のようにいちごに届き、
この時期は昼は25℃、夜は8℃を一定に保つ制御が可能な環境を昨年3月に増設した小林農園の小林さん。

たくさんの需要に応えるために、これまで土耕のみで栽培してきたいちごを「どうせなら最新の設備で」と
タッチパネル操作でハウスの天井のカーテンも開閉する近代的なハウスを作られました。

そんな小林農園さんのいちごの品種は「章姫」と「紅ほっぺ」。
二郎いちごを代表する章姫と相性が良いという紅ほっぺは、環境を整えると章姫よりも成長が早く、
花数が多いのは章姫ですが、紅ほっぺは成長が早いため結果的に多くのいちごを実らせるそうです。

【「神のお導き」にて始まった二郎での就農】

二郎に就農して8年になる小林さん。
それまでは会社員をされており、1年間の研修を経てここ二郎に就農されましたが、
二郎に来たことも「神のお導き」と当時のことを話していただけました。

「最初は自宅の窓際が暑いためツル系の植物を育てていたが、花と種しか採れない植物より食べるものが採れる方が面白い。」ときゅうりやゴーヤを栽培していたそうです。

そんな時、たまたま見つけた農業セミナーの案内に参加すると偶然酪農生活センターの先生が来られていて、
そこで声をかけていただいたことがきっかけで1年間の農業研修を受けたそうです。

そこからさらに偶然二郎の地主さんが畑の貸し先を探されており、人を介して紹介されて今に至るそうです。

その当時はいちごを栽培するつもりはなく、野菜全般を栽培していくことを考えていたそうで、
いちご狩りをすることも考えてもいなかったそうです。

しかし、二郎はいちごの町であり、周りの先輩農家さんからも勧められいちごを始めましたが、
二郎では部会に入る前、約2年間は修行をして認められないと「二郎いちご」は販売できません。

最初は2つのハウスでしたが、今では大きなハウスを設ける規模までたどり着くことになりました。

【トマト愛がうみだすハウスの活用と年中無休】

「いちご以外にも夏は違う野菜を栽培しているため休みがない」と話される小林さん。

土耕栽培のハウスが3つあり、いちごが終わるとそのうち2つは「トマト」と「きゅうり」を栽培し、
残り1つを消毒することで3年に1回消毒の順が回るサイクルとのこと。

いちごが終わる時期からトマトを栽培し、ちょうど品切れする7月終わりから8月初旬に販売できるため、
ハウスも活かされるし、店の声にもお応えできる、と実施しているそうです。

さらにハウス栽培では温度調整がしやすく、夏のトマトには必要な水分もあげやすい。
雨にも当たらないため割れにくいことも利点になっている、と
美味しいトマト作りのこだわりも説明いただき、「トマトは食べるよりも育てることが好きで、もし土地が二郎でなければトマト栽培をしていた。」とトマト愛を語っていただけました。

他にもナスやスイカ、メロンや玉ねぎなども栽培されており、なかでもナスは市場へ出荷もされておられ、
たしかに休む暇もないと言われているのが納得できる品数でした。

「もうこれ以上はやらないが、もし土地が増えればいちごかトマトをしたい。」と、
確かなトマト愛を再認識させていただけました。

【1年毎に次々知らないことが起きて、都度勉強しないといけない】

「昨年は梅雨入りが早かったため、約1週間いちごに日光が当たらず食べると酸っぱいいちごになった。」と
振り返り話される小林さん。

いちごを食べるなめくじやハムシなどにも悩まされ、ある時はきゅうりの収穫中に葉っぱに隠れていたマムシに噛まれ、約1週間入院をしたこともあったそうです。

「自然との向き合いの中で今でも1年毎に次々知らないことが起き、常に勉強をしないといけない。」
「ストレスのない農業を選んだが、もちろん全てが自己責任である」と、
農業の厳しさも感じさせていただける1面もお話しいただけました。

「今後は1年目のハウスを軌道に乗せるため、まだまだデータ収集をしないといけない」と話す小林さん。
多くの声に応えて増築したハウスで、これからも美味しいいちごを栽培されるはずです。

土耕栽培のハウスは、章姫と紅ほっぺを交互に栽培してる小林農園。
いちご狩りに来た方が「食べ比べ」できるようにしているそうです。

そんな素敵なアイデアに、きっと美味しいいちごを栽培し続けれられるのだろうと、
幸せな気持ちになれる時間になりました。

「神のお導き」で始まった二郎での就農が、8年経った今はたくさんの笑顔を導いていると、
ファームサーカスの売り場でいちごを選ぶ子どもたちからも感じることができました。

小林農園公式サイト
https://nirou-kobayashinouen.com/

※写真は取材当時の様子です。

【記・撮影 谷口】

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