『親父がずっと家にいる生活を』塾の講師をしながらいちごを育てる、兼業農家の工藤さん

『親父がずっと家にいる生活を』塾の講師をしながらいちごを育てる、兼業農家の工藤さん

大沢町で人気の農産物のひとつ、いちご。
FARM CIRCUSでも大変人気で、多くの方がいちごを求めて来園されます。

本日はその大沢町でいちごを育てる「しあわせファー夢」の工藤さんをご紹介。
今の季節はいちごを、夏にはスイートコーンも育てておられ、極力農薬を使わない栽培に取り組んでいます。
そんな工藤さんはいちご農家をする傍らご自宅で塾を開いて講師をされ、お二人のお子さんの父でもあります。

工藤さんが農業を始めたのは今から13年前。
最初の3年ほどは勉強や準備の毎日で、実際に作付けを始められたのは4年目に入った頃からだったそう。
どうして4年目からだったのか。
お話を聞くうちに、その理由にうなずけました。

工藤さんのハウスはとても立派。
でもなんとこのハウス、ご自身で建てられたのだそうです。


工藤さんのハウス

当時は予備校に勤めていたのでサラリーマンとして働きながらの大仕事。
田んぼをならすところからスタートして、仕事から帰ってからハウスに行っては少しずつ組み立てて、
という毎日でした。

そうしてこの立派なハウスを完成させるまでにまる1年かかったのだそうです。
そこからやっと作付けの準備ができるようになり、実際に作付けするまでそこから更に1年かかったのだとか。

「やっぱり自分でやった方が為になるよって言われて。土木的な事は何も知らなかったし、
道具も触ったこともなかったけど、色々勉強になりました。」と話す工藤さん。
 
 

【納得のできるいちごができるまで】

工藤さんの立派なハウスで育てられているのは章姫と紅ほっぺ。
中でもメインで育てているのは、地元でも人気の章姫です。
夏にはフローズンの章姫をFARM CIRCUSにも出品され、とても人気がありました。

工藤さんのこだわりは何より“味”。
また化学農薬や化学肥料をほとんど使用せず、有機の肥料を使ったりして、
安心して食べられるという事も大切にされています。

FARM CIRCUSでも大人気でおいしさもお墨付きの工藤さんのいちごですが、
ご自身で『食べたい』と思えるようになるまで5年はかかったといいます。

最初のうちはいちごがきちんと実っても他の人と比較するとどうしてもおいしさが届かない、
という気持ちが残ってしまっていました。

何が違うのか探る為に師匠の元を尋ねたり色んな人の畑を見に行ったり、
肥料を変えてみたりと試行錯誤を重ねられました。

研究を重ねて5年ほど経ち、やっと味に納得する事ができるようになったそうです。
リピーターもその頃から増え始めました。

それでもまだまだ100%ではないのだという工藤さん。
「常に課題はありますよ。おいしいだけじゃなくて、量の事とかね。
今年なんか、他はどんどん出してるのにうちは少なめ、とか。笑
納得はなかなかできないですね。」

1年に1回しか結果が分からない農業という仕事。
地道にそして貪欲に課題をクリアしようとする姿には頭が上がりません。
 
 

【「親父がずっと居る家」をやってみたくて、兼業農家の道へ】

工藤さんはご自宅で塾を運営されながら農業を営む兼業農家さんで、二児の父でもあります。

農家さんになった理由のひとつに『親父がずっと居る家』をやってみたかったという想いがありました。
工藤さんのお父様はサラリーマンで、土日にだけ家にいるという一般的なスタイルでした。
だからこそ父親がずっと家に居る、という環境に興味があったそうです。

その想いが実現して今はご家族で過ごされる日々。
お子さまがいちごの出荷作業のお手伝いなどをしてくれるたりもするそうです。

『子どもが小さかった頃は、出荷作業をしている横から取って食べちゃうこともあって大変だった』と、
ほっこりしたエピソードも。
お二人のお子さまは工藤さんのいちごが大好きでいつもパクパク食べてくれると、
嬉しそうに話してくださいました。

父親がずっと家に居る、という生活を実現された事でもう一つ得たものがあります。
それは奥様との時間。

サラリーマン時代にはなかった『奥様と共有すること』が増えたこともとても良かった、と言います。

「農業を始めて家族で過ごせるようになった事、それが一番良かったですね。
 (奥様と)ずっと一緒にいられるし、家のことを共有できるようになった。それだけでも価値があります。」
と、ご家族思いな一面をのぞかせていました。

農業はもしも大雨や台風で農作物が全てアウトになってしまったら、
その分収入もなくなってしまうというリスクを伴います。
“兼業”という選択をされた裏側には、大切なご家族を守る為という使命を抱えられてこその選択でした。
 
 

【おいしいいちごを食べてもらえるように、“大沢町”という町で日々を楽しむ工藤さん】

工藤さんのこれからの目標は『目の前の課題をやり続ける事』。

今の生活について「毎日楽しい」と笑顔でお話してくださいました。
この生活をどこまでやっていけるのか?という事を考えつつ、
願わくば長く続けられるようにしていく事が目標なのだそうです。

そして何より『おいしいいちご』を作っていく事も目標のひとつ。

化学農薬を極力使わないようにしているのも、私達消費者の事を想っての事です。
そうした想いが込められていると思うと、食べるのが一段と嬉しくなりますね。

工藤さんはいちごの観光農園もなさっていていちご狩りを楽しむことができます。

コロナ前は珍しいナイター営業などもなさっていたそうです。
ほんのりとした灯りに包まれる温かいハウスで楽しむいちご狩り、というのもとても素敵ですね。

現在はコロナ禍によりナイター営業はできなくなっているそうですが、
いつかそうした取り組みも再開できるようにしたいとお話してくださいました。
再開される日が待ち遠しいですね。

いちごのシーズンはまだもうしばらく続きます。
FARM CIRCUSや直売所で工藤さんのいちごを見かけられたら是非一度食べてみてください。。
手間と愛情がかかったいちごに、きっと幸せな気持ちになれることでしょう。


 
しあわせファー夢
http://www.siawasefarm.com/?fbclid=IwAR0-ZmWZCiTz4W22VlnEVy-8X
 

 

※夏にはスイートコーン狩りも。

【記・撮影 谷口】

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