歴史ある有馬で守り続けられる伝統の味 ~川上商店~

歴史ある有馬で守り続けられる伝統の味 ~川上商店~

その昔、豊臣秀吉公が何度も訪れたという歴史ある有馬温泉にて、
書物に残る記録からは元々人形筆や温泉染め、宿などを商売としてきた川上商店。

江戸時代後期に北前船により集められた北海道の昆布と、
当時有馬周辺の山々で採られていた蕗(ふき)や松茸、山椒を炊いて
振る舞いだしたのが現在の商売の成り立ち。

お店に入ると山椒の素敵な香りが漂う川上商店さんをご紹介します。
 
 

有馬の地で様々な由緒ある商売

歴史を感じる店構えでご対応していただいたのが、株式会社川上商店の大熊さん。

1559年より創業した川上商店は、現在は佃煮と山椒が主な商品ですが、
創業当時は人形筆や温泉染めなどを行なっており、数々の賞を受賞されています。


もちろん、現在の商品でもある山椒でも受賞されております。

これまで取り組んできた数々の由緒ある商売の中で現在は佃煮に絞られ、
そこで取り扱う山椒の実や花を活かした商品も作り、
4年程前から「山椒彩家」というブランドも立ち上げられました。


看板商品となる「松茸昆布」は、まろやかでコクのある甘口と
生醤油でさっぱりした味が特徴となる辛口の2種類があり、
「有馬山椒」の名で全国に知られるようになり、その山椒を使った料理は「有馬煮」と呼ばれるほど
和食食材としての地を確立した「山椒」も人気商品。

名産「有馬山椒」とは、六甲山系に自生する「ヤマサンショウ」のことを言い。
香りは格別で、口に入れた時の絡みや風味も他とは違う特徴を感じます。

現在、約40件の契約農家さんがおられ、こちらは「旧有馬郡」の農家さんとなります。
実は、大沢も昔は有馬郡だった時代もあり、大沢の農家さんもおられるとのこと。

山椒は縄文時代の土器からも見つかり、長い歴史の中で扱う農家さんは全国にたくさんありますが、
歴史的に書物が残っているのは有馬の山椒になります。

可能性の追求

太古から山椒の木が周辺に自生する有馬の地で、幅広く可能性のある山椒に注目した商品展開が多くあります。

なかでも、有馬で1本の木から年間で2日間しか採れない山椒の花と新芽を使った「花山椒」は、
甘みと苦味のバランスが絶妙な佃煮です。

薪を使ったかまど炊きでやわらかく全体をゆっくり炊く製法は、
昔から変わらず今も大事に継承されておられるそうです。

そしてもうひとつ特徴のある商品が、「辛皮(からか)」と呼ばれる山椒の木の皮を剥いだ商品。

「辛皮」は、剥いだ皮をあく抜きし刻んで醤油で炊き上げた商品となり、
日本で2件のみしか販売していない珍しい商品だそうです。

香りはなく辛味が強いためはじめは地元の人だけに親しまれてきましたが、
しびれる辛さが評判になり製造量は少ないのですが人気商品になったそうです。

他にも佃煮を作る上でこだわる「昆布」を使い日々の生活の中での使いやすさを重視した「だしパック」や、
インバウンドのお客様や若い世代にもお勧めしやすい「山椒ドレッシング」「山椒マヨネーズ」などもラインナップしています。


長期保存が可能な商品にこだわり、「有馬山椒カレー」や「サバの有馬煮」なども人気で、
それぞれ各専門のメーカーへの相談から実現している商品たち。

「これからもまだまだやりたい商品はある」と常に可能性の追求をされている様子を伺えました。


これらの商品は「オンラインショップ」でも購入できるので是非ご覧ください。

⇓川上商店 オンラインショップ
https://kawakamishouten.shop-pro.jp

ファームサーカスでもたくさんの商品を取り扱っており、人気のラインナップとなります。


香り漂う店舗「山椒彩家」

風情ある街並みの中に一際大きな暖簾が目立つ店舗「山椒彩家」。

店に入ると柑橘系とも言える山椒の香りと、石臼で山椒を挽いている音が店内を充満しており、
潰した山椒の実からは挽き立ての香りを味わうことができました。


山椒彩家の裏にある山椒の木を見せていただきました。
山椒の枝にはたくさんのトゲがあり、実を摘むのにもとても時間がかかるとのことです。


現在は農家さんへ山椒の苗を配っておられるそうで、
有馬山椒を維持するために生産者への支援活動も実施しておられるそうです。

日本を代表する香辛料として

数ある商品の中で、ご家庭でも挽き立てを楽しめるミル付きの商品がありました。

「一番美味しい状態で食べて欲しい」と、付属のミルも特注で開発されたとのこと。

「売上のために商品を増やしたくない」と語る大熊さんは、
「ジャパニーズペッパー」と呼ばれる日本を代表する香辛料である山椒を、
「砂糖や塩と並ぶ、日常で扱える使い方を伝えていきたい」と思いを語られていました。

菌なども抑制するという山椒は衛生にも優れた商品とのことで、
これからのニーズに常にアンテナを張り新しい商品の開発や製造支援なども積極的に行ない、
ここ有馬の歴史ある名産となる商品を継承し続ける使命感を
強く感じることができる貴重なお話を伺えました。

佃煮元祖 川上商店
https://kawakami-shouten.co.jp

オンラインショップ
https://kawakamishouten.shop-pro.jp

【記・撮影 谷口】

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