気候と土と、ベテランの目。神戸市北区でお米を育てる坂井さん

気候と土と、ベテランの目。神戸市北区でお米を育てる坂井さん

「このあたり(大沢町)は、土が良いからうまい米ができるねん」というのは、FARM CIRCUSが在る神戸市北区大沢町で農業を営む坂井さん。お野菜を育てる傍ら、お米の栽培もしておられます。坂井さんはお米を育てて40年以上になる大ベテラン。酒米の山田錦、食用米のコシヒカリ、キヌヒカリ、もち米のやまふくもちの4種のお米を育てています。

さて、神戸市北区のお米と言えば、思い浮かべるのは酒米。
”酒米の王”とも呼ばれる山田錦の生産が盛んです。日本で一番多く栽培されている酒米で、なんと6割が兵庫県内産なのだとか。神戸市北区が山田錦の栽培地として優秀な生産地として評されるのはなぜなのか。取材を通じて、山田錦をはじめ北区のお米がおいしい秘密を探ります。
 

(坂井さんのコシヒカリの田んぼ)
 
おいしいお米作りをする上で欠かせないのが、寒暖差の激しい気候と良質な土。神戸市北区には、そのどちらもが備わっていると、坂井さんは言います。
神戸市北区は六甲山の裏側にあり標高が高く、昼夜の寒暖差が激しい地域。この気候条件が、おいしいお米の第一ポイントです。お昼間には太陽の光をたっぷり浴びて、ぐっと冷え込む夜に、栄養を蓄えます。その為、しっかりした旨味と甘味のあるお米ができるそうです。

そしてもうひとつ、“良質な土”。これは、最も重要なポイントです。北区の土は粘土質。
粘土質の土はしっかり栄養を蓄えるので、お米に十分な栄養を送る事ができます。さらさらの砂状の土だと、栄養が逃げてしまいますが、粘土質の土は栄養を逃さずお米の十分な栄養を送ることができます。
その為、旨味も粘りもしっかりしたお米が育ちます。土がさらさらだと栄養が逃げてしまうので、おいしいお米にはならないのだとか。北区は、この2つの条件を兼ね備えているからこそ、おいしいお米ができるのです。
 

(開花した稲穂)
  
一般的に、お米は兼業農家の方でも栽培しやすいと言われています。とはいえ、もちろん管理は必須。田植えをすれば、秋を待って稲を刈る、、、というわけにはいきません。
田植えの前にまず、田んぼを耕します。きちんと耕す事で田んぼが空気を含み、微生物を蓄えます。この“微生物がいる”という状態はとても重要で、この状態を作って初めて、田植えができるのです。

田植えが終わってしばらくすると、今度は“中干し”といって、水をいったん抜き、土にヒビが入るくらいに乾燥させる作業を行います。こうすることで土の中に新たな酸素を送り込み、さらに根が腐るのを防ぎます。

そして収穫の時期は、稲穂が出てから受ける温度の合計値“積算温度”をもとに、稲穂の状態を見て決めていきます。
積算温度はお米によって異なり、例えばコシヒカリなら1000度なんだそう。坂井さんは、お米の状態や土の状態を見極めながら、これらの工程を完璧に行っていきます。
 

(もち米”やまふくもち”の稲穂。ひげが映えているのが特徴。)
 
おいしいお米が育つ条件は、酒米も食用米も変わらないと、坂井さんは教えてくれました。つまり、北区で育つ食用米も、酒米同様良質であるという事。実際、FARM CIRCUSのスタッフの中でも北区のお米は圧倒的においしいと人気です。
それだけおいしいのに全国的にあまり流通しないのは、山田錦が田んぼのシェアを大きく占めているからなのだそう。北区のお米は、主に北区でしか買えない、プレミアムなお米なのです。

取材前は、これほどおいしいのに流通しないのはどうしてなのか疑問に感じていましたが、限られた面積で山田錦が多く栽培されているのなら、食用米が少ないものうなずける話。
 

(坂井さんのコシヒカリの稲穂。しっかり垂れている。)
 
坂井さんイチオシの品種は、キヌヒカリ。キヌヒカリはコシヒカリに比べてねばりが少なく、さっぱりしているのが特徴。その為、冷めてもおいしくお弁当にも向いています。炒め物や酢飯などにも最適で、オールマイティに使えるのだそうです。

『昔は“米粒は数えて食べなさい。”と教えられた。お茶わんには、たくさんの米粒が入っているから、残さずに食べてほしい』と、坂井さんは話してくれました。
最高の気候条件に、良質な土、恵まれた大地で大切に育てられているからこそ、神戸市北区のお米は“おいしい”が詰まっているのです。
FARM CIRCUSではそんな新米を楽しんでいただける『新米フェアー』も開催中。
おいしいお米を食べたくなったら、ぜひ神戸市北区のお米をお試しあれ。
 
 

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