北区の一番標高の高い場所で農業を営む坂井さん

北区の一番標高の高い場所で農業を営む坂井さん

FARM CIRCUSから車を走らせること約10分。
細い山道をあがると見えてくるのが、坂井さんの農地です。

神戸市北区のなかでも一番標高が高く、六甲山が見渡せる場所に農地を持つ坂井さん。
代々農業を営み、坂井さんで十一代目。
30歳になる息子さんも、会社員を経て一昨年から農業を営むようになったそうで、
現在、十二代目とともに農業を営んでいます。

標高が高いため、風がとても強い場所だからこそ、ハウスの強度が重要で通常より丈夫に作らなければいけないそう。
また風が強いだけではなく、冬の寒さは強烈なもので、昼と夜の寒暖差も大きい。
けれども、そのおかげでこのあたりではおいしいお米を育てることができるのだと嬉しそうに話してくれました。

また、標高の高いこの場所は、谷あいにある農地と比べて空気が滞らないので霜がおりにくい。
それによって、作物が長く良い状態で育つのだと話してくれました。
この場所で長く農業を営んできたからこそ知っている、土地の特性をふまえて農業を営む様子が伺えました。

昨年まで地元のJAで部長を勤めながら自身で農業も営み、
農家さんへ栽培方法のレクチャーなども行っていたそうで、
現在は、この界隈の多くの農家さんの栽培方法を見てきた経験を活かし、
年間を通じて15品目くらいの多種多様な野菜を少しずつ丁寧に育てている坂井さん。

いま、ちょうど収穫を待っているのだと案内してくれたのが、茄子の畑。
神戸市北区では千両茄子が多いのですが、坂井さんが育てているのは、
水茄子、賀茂茄子に加えて「あのみのり」という珍しい品種の茄子。
漬物にも煮物にむいているという「あのみのり」は、
果肉は緻密で、調理すると独特の滑らかな食感が堪らなくおいしいそう。
また、艶がでればでるほど良いといわれる茄子は、栄養不足や水不足などで艶がでず、
地元ではボケ茄子や石茄子と呼ばれて、出荷に適さないものに育ってしまうこともあるそうなのですが、
この「あのみのり」はそうなりにくいのも特徵のひとつだそうです。
育てやすくおいしい茄子を見つけた坂井さん。
長く農業を営みながらも試行錯誤しながら挑戦を続けるその姿は、とてもかっこよく、
坂井さんの作る「あのみのり」を食べる日が待ち遠しくなりました。

取材日:2017年6月12日 取材場所:神戸市北区大沢町 農園名:坂井農園 取材・執筆:濱部 玲美 写真:福原 悟史

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