-Event Report!- FARM CIRCUS工房市

-Event Report!- FARM CIRCUS工房市

12月1日、FARM CIRCUSではじめての『FARM CIRCUS工房市』が開催されました。
クラフトに関する12名の職人さんがこだわりの逸品を販売。ずらりと並んだ個性豊かなアイテムは、見ているだけでもわくわくした気持ちにさせてくれます。

個の魅力的なアイテムは、そこにはどんな思い込められているのでしょうか。
工芸市は作り手の方が直接販売をしてくださるので、こだわりを伺ってきました。

なるみ堂創作工房◆◇モリタナミコさん

工房市の一番手前で賑わっていたのは、笑顔が素敵なお二人の女性が迎えてくれる、”なるみ堂創作工房”さん。
店頭には木のスプーンやスリッパがならんでいて、自分の好きな名前を入れてくれるという事で、お子さんや、ギフトとしても大人気でした。


その場でフリーハンドで名前を焼き付けていくんですが、これがすごい!緻密な作業に見入ってしまいました。

そしてもう一つ人気だったのは、似顔絵。ペット連れの方をはじめいろんな人々が遊びに来られた記念に頼んでおられました。

とっても素敵なこの似顔絵。アート関係の勉強をしてこられたのかと思いきや、始めたきっかけは『特技を活かそうと思って』とのこと。と、特技でここまで、、!これは確かに”特技”にとどめておくのはもったいない!更にこちらの方、こんなにかわいい猫ちゃんを、新聞紙で作っちゃうんです。
どうでしょう。新聞紙に見えますか?

さらに驚くのは、こちらの女性、なんとアコーディオンまで演奏できてしまうのです。才能にあふれるお二人は、その才能でたくさんの人々の思い出作りのお手伝いと、幸せを作っておられました。
 
 
乾窯◆◇乾義弘さん
なるみ堂さんのお隣は、焼き物の”乾窯”さん。まず目をひくのはなんといっても、、、

可愛く並んだ小さな招き猫やお地蔵さんたち。小さなお子さんも、通りがかりに「かわいいねー!」とはしゃぎながら見ていました。このお地蔵さんの置物は手の平サイズで、ちょこんとした姿がなんとも愛くるしく、ほんんわかした気持ちにさせてくれます。


このかわいいお地蔵さんたちを作るのは、乾窯の乾さん。
乾さんは昔、一般的なサラリーマンだったそうです。やってみようかなぁ、くらいのライトな気持ちで陶芸を始めたところ、こっち(陶芸)の方がおもしろい!と感じて、サラリーマンから一転、陶芸家になったのだそうです。

そんな乾さん、もともとは食器だけを作っていました。ですが、食器を焼く際の空きスペースが勿体ないという理由で、食器を作った際に出る端材を使ってお地蔵さんを作って販売したら、思いのほか受けが良く、それからこの可愛らしいお地蔵さんや招き猫をはじめ、この置物を作り続けているのだそうです。


かわいい、と言いながら通っていくお客さんを見ている乾さんの表情は、とてもうれしそうでした。「適当に作ったけど、かわいいでしょ。最初に比べたら、だんだんかわいくなってんで」と満足気。工芸家さんにとっては、どの商品も全て子どもみたいな存在なのでしょうね。
個人的には、ネコさんのお箸置きが好きです。こうして並ぶとまるで日向ぼっこしているようで、一層愛くるしく見えました。
 
 
 
GRAFICO LUAR◆◇緒方ふみえさん
緒方さんの皮細工の特徴は、革とは思えないような色彩豊かな作品がそろっている事。例えばこのピアス。

とてもカラフルで、どれにしようか迷っちゃいますよね。これ、全て生き物の”皮”からできているんです。
「皮細工」ときくと、牛や馬、豚や蛇などが一般的。でも緒方さんの皮製品は、そうした一般的な種類に限らず、色んな生き物の皮を使っています。これが、緒方さんの皮作品がカラフルな秘密。

緒方さんは昔、いろんな国へ行っていろんな種類の皮をたくさん集めていたのだそう。魚、トカゲ、ニシキヘビ、ウミヘビ、カエル等々、皮製品としてはなじみのないラインナップもしばしば。そうして集めた皮がたくさんあったので、皮製品を作り始めたのだそうです。


皮であれば何でもいいわけではありません。自分の目で見て、触って、納得のいったものだけを使っています。インターネット購入も、絶対にしないのだとか。そうしてこだわり抜いて、選び抜かれた選りすぐりの皮が、お財布や手帖カバー、アクセサリーといった日常に溶け込む商品になっています。


アクセサリーなどの小さな作品に使われているのは、大き目の作品を作った時の端材。そうする事で皮をなるべく限界まで使っています。それはケチケチしているのでもなんでもなく、「生き物からもらってるものなので」と、皮を頂いた生き物への感謝の気持ちからでした。
 
 
 
アトリエ タカ◆◇斎藤たかさん
個性豊かなガラス細工が並ぶ、アトリエタカさん。ベネツィアングラスの製法で作られたアクセサリーなどが中心です。くまさんのペンダントや、小さなカエルさんの置物など、お子さまに喜ばれそうなものが店頭を可愛らしく飾っていました。

斉藤さんはもともと、ステンドグラスを専門にしていた職人さん。今はベネツィアングラスを中心にしていて、作品も色彩豊か。ベネツィアングラスにもいろんな技法があるのですが、中でも斉藤さんが採用しているのは、ガラスをくっつける技法。斉藤さんいわく「ガラス溶かせたら誰でもできる」との事なのですが、それほど簡単にやってのけるのが職人さんのすごいところ。

斉藤さんは、他にも興味深い商品を出していらっしゃいました。中でも面白かったのがこちら。

ポケットに入る万華鏡。

職人仲間からもらった流木の先にビー玉をつけた、とってもシンプルな万華鏡。ビー玉に映る景色を乱反射させる事で、自分の見ている景色が、幻想的な世界へと一変。あのキラキラした世界になります。『ポケットに忍ばせ、旅に出かけよう!』の誘い文句にも、心惹かれます。

そしてこちらも、職人さんならではの発想で生まれた、工芸品への愛が溢れるアイディア商品。

なんと、割れた陶器の破片をペンダントトップにしたもの。陶器は一度割れてしまったら、捨ててしまうことがほとんど。でも、もともとは職人の手で作られた大切な一つの作品。一つとして同じ物はありません。斉藤さんはそこに目を付け、割れた破片をペンダントトップにリサイクル。割れたことで模様が個性になり、存在感のあるオシャレなアイテムに早変わりです。
こうしたアイディアも、作品を生み出す職人さんならでは。
 
 
 
石水窯◆◇筒井祝さん
筒井さんは、陶芸歴30年以上になるベテランさん。土づくりにもこだわって、全て自分で作り上げています。陶芸用の土のセットなどもありますが、そうしたものは一切使いません。

そんな筒井さんは、食器や一輪挿し、お面などを作っていらっしゃいます。淡い水色に、深い緑色。とっても優しい色味のものばかり。実はこれ、色を塗ったわけではないのです。この優しい色味は、陶器を焼く際に使用する藁灰の色によって生まれる色。焼き物の色は、藁の種類と土の組み合わせによって色味が変わるのだそう。例えば藁は、産地が違えば土の質をはじめ育った環境が異なる為、仕上がりの色味にも大きく影響します。だから、農薬を使用した藁は使っていないそうです。

筒井さんの食器は、使う人の事をとてもよく考えて作られています。
例えば、日常的に使う食器。「せっかく高いのに買ってくれた食器が、欠けたりしたら申し訳ない」と、強い土を使って丈夫に仕上げています。また、使いやすいように模様などをつけずデザインもシンプル。反対に、茶道で使用するような茶碗など使用頻度が少ない物にはあえて弱い土を使用する事で、使い続ける事で風合いが出るように工夫されています。
ひとつひとつ丁寧に、思いやりが込められて作られた作品には、筒井さんの優しくて柔らかいお人柄が表れていました。


 
 
 
EREANORレザースタジオ◆◇高島隆一さん
突然ですが、クイズです。
ハートや丸のチョコレートのようなかわいいこちら、一体何から作られているでしょうか。

答えは、木。
 
と、思った方がほとんどなのではないでしょうか。

でも実は、革から作られているんです!み、見えない、、、
作者の高島さんは、革細工をはじめて24年。皮という素材は本来、球体を作れない物なのだそう。他にも、リアルな花を作ったり、皮では作るのが難しいような作品にも挑戦しておられます。

そんな高島さんも、はじめのうちは一般的なものを中心に作っていました。”自分なりに少しでも面白いものを”と、今では革細工としては珍しいアイテムをたくさん出していらっしゃいます。「たくさん作っていたら、オリジナルが作れるようになります。簡単ですよ。」とカラッと笑う高島さん。でもきっと、コツコツと技術をつける努力と、柔軟なアイディアを作品にする為の工夫があればこそ、面白い作品が出来上がるのだと思います。


 
 
前半はここまで。
続きの『-Event Report!- FARM CIRCUS工房市 その2』も併せてお楽しみください。

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